まいにち読解(第1回)2025年10月16日

こんにちは。まいにち読解 第1回です。

毎日継続的に取り組めるよう、問題は1問だけにしています。文章を読んで、そのあとに続く問題に答えましょう。

第1回「エンタメの力」

 私たちが日常で接するエンターテイメント(娯楽)は、単なる暇つぶしや時間の消費活動に留まりません。映画、音楽、ゲーム、舞台といった多様な表現形態は、人々の感情を揺さぶり、生きるエネルギーを与えてくれる、現代社会において欠かすことのできない要素となっています。情報が溢れる時代において、なぜエンタメはこれほどまでに人々の心の拠り所となり、魅了し続けるのでしょうか。

 エンタメが持つ最も重要な力の一つは、「現実世界からの仮の解放」を可能にすることです。私たちは日々の暮らしの中で、仕事や勉強、人間関係における様々な責任やプレッシャーを抱えています。このような状況下で、緻密に作り込まれた物語世界に没頭できる映像作品や、高度な技術で実現された仮想現実体験は、一時的に現実の悩みや心配事から意識を遠ざけてくれます。これは一種の心の休息であり、リフレッシュすることで、私たちは再び現実に向き合うための活力を再充電できるのです。

 次に肝心なのは、「他者への共感と多角的な視点の獲得」という側面です。例えば、フィクション作品は、私たちの境遇や価値観とは大きく異なる主人公の人生を追体験させてくれます。これにより、私たちは他者の心情や苦難を想像し、深い共感力を育むとともに、自分自身の限られた世界観から抜け出すことが可能となります。また、様々な文化的背景や歴史を主題とするエンタメに触れることは、多様な価値観を受け入れ、世界をより深く理解するきっかけとなります。エンタメは、私たちを社会や他者と結びつける橋渡し役としての機能を果たしていると言えるでしょう。

 さらに、エンタメはしばしば、「創造的な発想の源」ともなります。クリエイターたちが生み出す斬新なアイデアや表現方法は、受け手に新しい気づきや感動を与え、自らも何かを創り出したいという内なる意欲をかき立てます。音楽から着想を得て詩を書き始めたり、物語に感銘を受けて新たな表現活動に挑戦したりするように、エンタメは私たちの心に秘められた潜在的な創造力を引き出す触媒となるのです。

 情報技術の進化に伴い、エンタメの形態は今後も変化していくでしょう。仮想現実(VR)や人工知能(AI)といった技術は、より深く、一人ひとりに合わせた体験を私たちにもたらす可能性を秘めています。しかし、その根底にある「人々を楽しませ、心を動かす」という本質的な役割は変わりません。私たちはこれからも、エンタメを通じて現実の束縛を忘れ、他者に共感し、そして新しい自分を発見し続けるでしょう。エンタメは、私たちの人生を豊かにし、人間らしく生きるための彩りを与えてくれる、かけがえのない文化なのです。

【問】傍線部「『現実世界からの仮の解放』」とはどういうことですか。四十字以上五十字以内で説明しなさい。

【解き方】

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①問われていることの確認

「どういうことか」・・・言いかえの問題。
言いかえとは、中身(意味)は変えずに、外身(言葉)をわかりやすく変えること。

まずは、キーワードごとに分けて考える。

②抜け落ちている部分の確認

「解放」とあるが、勝手に(自然に)解放されるのか?
→「何かによって」解放されるはず。その「何か」を、傍線部の周辺から拾う。

③わかりにくいキーワードを言いかえる

「現実世界」・・・抽象的(わかりにくい)。具体的に現実世界の何を指しているのかさがす。

「解放」・・・意味は伝わるが、説明問題なのでうまく言いかえたいところ。

「仮の」・・・これが抜けがち。「解放」ではなく「仮の解放」であることが重要。

④言いかえたキーワードを元の傍線部にあてはめる

②・③をふまえて、言いかえたキーワードを元の傍線部にあてはめて、答えを作る。

→(    )によって、(    )から(    )に(     )ということ。

【解答】

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エンタメによって、現実の悩みや心配事から一時的に意識を遠ざけることができるということ。

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